初めての不妊治療2


人工授精5回目が撃沈した日は、

ちょうど引越し間際だった。

先生に、

引越しを機にステップアップした治療をしたいです。


という旨と、
引越し先が実家の近くであることを告げると、


実家の近くならいいね!
これでご両親に赤ちゃんの顔、すぐ見せられるね!
ステップアップがんばろうね!


と言ってくれた。

なんだか疲れていたのもあり、
泣いてしまった。

先生はなんでこんなに温かい言葉をすぐかけられるのだろう。。


その日から、卵子を育てるための、
ホルモン剤の服用と
ホルモン剤の筋肉注射が始まった。


ホルモン剤の服用をすると副作用で頭痛が半端なかった。

他にも、身体中に湿疹が出て、赤いドット柄になった。

草間やよいと友達になれそうなドット柄だった。

そして一日おきの筋肉注射。

これが痛い。

針を入れるのが痛いというより、
腕にホルモン剤が入るのが痛い。

おしりにするか腕にするか聞かれるのだけれど、

私はおしりを見せるのが恥ずかしくて、

いつも腕にしてもらっていた。  

力が入っていては余計痛くなると思い、

筋肉注射をする時は、

口をあーーっと開けて、

目も半開きにするスタイルをとった。

看護婦さんから見ると、
痛すぎて失神しているのかと間違われるほどだった。

1ヶ月で私の腕は採血とホルモン治療により、
穴だらけになってしまったが、
草間やよいのドット柄(湿疹)が功を奏して、

会社の人達にはバレなかった。

筋肉注射をした日は
必ずだぃちゃんが現場から車でかけつけてくれて 

具合が悪くならないよう私を車に寝かせ、運んでくれた。



その月の内診は初めての体外授精周期ということもあって、

慣れているはずの、

犬神家!!

の開脚をしている間、
先生の言葉を聞き逃してしまった。

先生に、


すみません!緊張してて!!

というと、



松井さん、、、

キンチョーの夏が来たね!!


と笑わせてくれた。


結局、草間やよいになったかいがあり、

卵子はたくさんたくさん育っていた。


採卵前々日。

夜中24時きっかりに鼻からホルモンスプレー。

ベッドで苦くてえづいていたら、だぃちゃんがそっと頭を撫でてくれた。

採卵手術前日。

卵子が勝手にどっか行かないように、
17時と23時きっかりにボルタレンの座薬をする。

その日は会社だったのだけど、

電車に1本乗り遅れてしまい、

おうちに着いたのが17時15分。

半泣きになりながら、
慌てて冷蔵庫から座薬を出し、

玄関でカバンを背負ったまま
はあはあ言いながら
震える手で座薬を注入した。

なんていう光景だろうか。

今、いきなり玄関のドアを誰かに開けられたら、

完全に変態プレイだ。 


もう一度言う。


カバンを背負って座薬を入れた。



3に続く。