初めての不妊治療9

移植手術を受けてから一週間後


今回は特に体調を崩すこともなく、


判定日を迎えた。


血液検査で判定なのだか、


今回はホルモン注射などもしていない自然周期療法だったので、


久しぶりに針を腕に刺す感覚は、


なんだかいつもより痛い気がした。


緊張のせいだったと思う。


結果を待つまでの1時間弱、


いつもどおりDSでFFをやっていた。


この頃になると、


もうラスボスがいるステージまで行っていた。


通い始めた当初、


一番強い魔法だったファイアが、


今はメテオだ。


回復もケアルではなく、ケアルガだ。


地球にいたはずなのに、


今は月にいる。


月に行ったとたん敵は強く、


5歩歩くと全滅した。


その日は心ここにあらずだったため、


2歩でバトルになり、


ぼーっとしてるうちに全滅し、


タイトル画面になったので、


DSはすぐ閉じた。


次に、


駄目だった時は、母親と高級温泉旅館に行く約束をしていたので、


じゃらんで熱海の星野リゾートをリサーチしていた。


そんなこんなしているうちに時間が経った。


私が呼ばれる2人前の人が、


陽性反応が出たらしく、


診察室は拍手の音で溢れ、


喜びで咽び泣く患者さんの泣き声か待合室まで聞こえた。


私は


この後呼ばれて、


陰性と伝えられるのは、辛すぎる。


と思い、この後呼ばれないことを願った。


願いが通じ、次は違う人が呼ばれ、


落ち着いた診察が行われているようで安心した。


そして次に私が呼ばれた。












「陽性です!!!」









先生が言ったとたん、


どこからともなく、


わぁーと看護婦さんが集まり、


拍手の海になった。


私はびっくりして、無表情だった。


嬉しさを上手く表現出来ないでいた。


「おめでとう!手術で血出ちゃったけど、痛いの頑張ってよかったね!」


と先生に言われ、ハッとして、


ありがとうございます。ありがとうございます。


と震える声で先生と看護婦さんに伝え、


診察室を出て、待合室に戻って


しばらく、ぼーっとしていた。


そして、やっと喜びが湧いてきた。


が、今は陽性反応が出ただけだ。


この次に胎嚢、次に心拍確認が出来て、


正式に妊娠になる。


次の緊張感がすぐ芽生えた。



胎嚢確認までの時間は長く感じたが、


無事に次の診察で胎嚢と、卵黄嚢が確認出来た。


先生に、


卵黄嚢とはなんですか?


と聞くと、


赤ちゃんの栄養袋だよ。


つわりが大変で栄養が摂取出来なくても、


赤ちゃんは、この袋から栄養を摂取するんだよ。


とおしえてくれ、


私は、


人間って、


シャケみたいで


すばらしい


と思った。



そこから心拍確認はさらに2週間後だった。


その2週間がすんごいすんごい長かった。



そしてその間に徐々に体調に異変が出てきた。



気持ちが悪い。



日に日に



気持ちが悪い。



そして、



水下痢。


栄養を摂取できない。


一週間経ったくらいから仕事を休み、


実家のベッドに寝たきりになった。


一週間で2キロ痩せた。


心拍確認まであと1日。


いつもどおりベッドに横になっていると、


ふと、


分娩予約っていつまでにした方がいいんだろう。


と思った。


ネットで調べてみると、


人気のある産院は妊娠5週目でもう予約が取れないと書いてあった。


私は明日で妊娠7週だ。


すごく不安になったので、


希望の病院に電話してみた。


すると、


私の出産予定日あたりは、


まもなく埋まり、


本日、来院してもらわないと、土日で予約が埋まってしまう可能性があると言われた。


急すぎる。


ずっと寝たきりだったので、


パジャマに腹巻で前髪も鬼太郎くらい伸びて、


そもそも髪も洗っていない。


体調もよくない。


でも、5時半までに来てくださいと言っている。


今日。


でも。


希望の産院で出産出来なかったら、


一生後悔する。


と思い、


鬼太郎の出で立ちのまま、


母親に頼んで同行してもらい、


豪雨の中、タクシーで病院まで急遽向かった。


40分後、無事産院についた。




実はここは私が池袋の不妊治療クリニックに通う前に通っていたが、


なかなか妊娠できずに、


一度来院を中止した駒込のクリニックだ。


懐かしい。


約、2年ぶりかな。




ここで出産したかった。




どうしても。





いつも優しいおばあちゃん看護婦さんがまだいて、


その方に名前を呼ばれた。


私を見て、にっこりして、


私は、


おかえり


って言っているように感じた。


私のことは覚えていないと思うけれど。


私は勝手にそう感じた。


診察室に入ると懐かしい先生がいた。



診察の結果、


1日早く心拍が確認出来た。


お腹の中に1センチの人がいた。


そして、拡大すると、


真ん中あたりがチカチカものすごいスピードで光っていた。


これが心臓ですよ。


順調ですね。


と言われた。






「初めての不妊治療」おわり。




明日で妊娠7週、2ヶ月後半です。


出産予定日は5月12日。


本当は12月あたまの安定期に皆さんにお伝えしたかったけれど、

つわりが酷く、Twitterに吐き出せずにいるのが辛く、早めの報告になりました。


早めの報告をしてしまったので、

これから何が起こるかわかりませんが、後悔がないよう大事に大事に頑張ります。


みんな応援してくれてありがとうございました。

これからも応援してください。

ジャンピング土下座!




「初めての妊娠」に続く。 

初めての不妊治療8


1回目の体外受精手術は失敗に終わった。


やっぱり採卵で子宮に何回も針を刺したし、


体に負担をかけないよう


無麻酔だったから仕方ないけど、


飛び上がるくらい痛かったし、


実際飛び上がったし、


卵巣も腫れていて、


こんな私に移植されても、


無理だよ。。


と子宮からの声が聞こえるようだった。


私は子宮に、


ごめん


と謝った。


先生は、


残念ですが、、、


と結果を伝えたあと、


私の顔を見て、


ぜぇーーーっったい!!!

大丈夫だから!!!!

安心してくださいね。

次の卵で頑張ろう!!!


と勇気づけてくれた。


クリニックでの判定の帰り道、


遅いお昼を食べるため、


いつも行くルミネの和食カフェに向かった。


そしてカツ定食を10分で完食した。


そう。


私はもう前を向いていた。


その日から、

次の凍結卵移植に向けて


薬も飲まなかったし、


注射も全く打たなかった。


先生から完全自然周期で行きましょうと言われ、


酷使しすぎた子宮を1ヶ月休めることが出来た。


これはかなりありがたかった。


身体はどんどん元気になっていき、


湿疹もほとんど消えた。


そして極めつけに、


いけたんとサマソニに行けるくらい回復した!


本当に楽しかった。。。


そしてとても懐かしい気持ちになった。



2回目の体外受精移植手術当日。


やはり緊張した。


手術自体よりも、


前回のように

手術後体調が急変して


病院送りになったらどうしよう。


と術後の心配が大きかった。


朝一で採血をし、


移植に適しているホルモン値か検査をする。


ホルモン値が基準を満たしていたので、


移植が決定。


凍結卵を融かすのはお昼までかかると言われたので、


ずっと心配していただぃちゃんのおかあさんに連絡をとり、


早めのお昼をお誘いした。


だぃちゃんのおかあさんはすごく心配していたが、


私がホテルのローストビーフサンドを


おかあさんの分まで食べたので、


それを見て少し安心したようだった。


あとは、

前夜、競馬のジョッキーになった夢をみたことなどを


お伝えしたら、笑ってくれた。


そして、


太陽をたくさん浴びて帰りましょうという


謎の提案をしてくださり、


暑い中、少し遠回りで病院に戻った。


病院に戻るとすぐ培養士さんから


凍結から目を覚ました卵の説明があった。



「今回移植する卵ですが、


Aです!


Aとは、卵の状態を表したもので、


A〜Eランクまであるうちの、


最上級の100点満点の卵です!!


こちらが写真です。」


写真には


円球に足みたいなのが生えたような


ピクミンのようなものが写っていた。


形を見てもどのあたりがAなのかがわからないのですが、光栄です!

よろしくお願いします!


と問診室を出た。


私は、


なんか足みたいなのが生えていたような、、、うーん。


あれはなんだったんだろう。


もう足が生えたのかな、はやいな、成長!


いや、毛?毛かな?


いや、そんなわけないよな。。。


と悶々としながら、


手術室に呼ばれるのを待った。


個室のベッドルームでピンクの手術着に着替え、


手術帽を被った。


2回目だし、

さっきなんだか卵褒められたし、


今回は心の余裕があったので、


手術帽を被った自分を写メしたい衝動にかられた。


我慢した。


そして手術室に呼ばれた。


手術台から落ちないよう、


また足を固定される。


消毒などの準備が諸々終わると、


培養士さんが、


手術開始!の大っきい声と共に卵の状態をマイクで伝えた。


その後先生が、


「子宮内膜、○○ミリ!!」


と子宮の状態を伝えた。


私はまた震えていた。


こわくて。


でも大丈夫!!


頑張ってー!の励ます係の人がいて、


私の怖さを紛らわすように、


色々はなしかけてくれた。


その人が、モニターを見ながら、


「これは、めちゃさんの卵ですよ〜、、、、、あれ?なんだか足?みたいなのが出てますね!この卵、着床する気まんまんですよ!!」


と言ってくれた。


そうか、、、私の卵はやる気に満ち溢れて、足が生えたんだな!


と自分を納得させた。


励まし係の人が


はい!移植しましたー!


と言い、


1度機械が外された、、、

ふう、終わった。


と思ったら、なんかまた、


機械が入れられた。


みんな慌てている。


私は震えながら、


声にならない声で、


励まし係の人に、


はわっ、、、


はわっ、、、


と恐怖を訴えると、


先生が、


「血が出てきて止まらないので、機械で引っ張って止めます!」


と言った。


私が、また励まし係の人に、


はわっ、、、


はわっ、、、


と訴えると、


「大丈夫!すこーし血が出たみたい☆大丈夫ですよ!」


と笑顔で応えてくれたので、


信じることにした。


そして移植手術では本来入れられない止血ガーゼが入れられた。


震えながらベッドに戻り、


ピクミンの写真を見ながら、


血が出たことに動揺しながら、


天井をずっとみていた。


しばらくして看護婦さんに、


止血ガーゼをトイレで抜いてきてください。

血液量確かめたいから、

これに入れてね!


と、白いビニール袋を渡された。


私はびっくりした。


ビニール袋には、


急遽、私を落ちつかせるために看護婦さんが速攻で書いた


でっかいうさぎちゃんが書かれていた。


うさぎちゃんは速攻で書いたため、ギザギザだった。


うさぎちゃんのまわりにはお星様がいくつか書かれていた。


本当に感動した。


動揺した私を落ちつかせるために、、、、


止血ガーゼには多少血がついていたが、


思ったほど出ていなかった。


ギザギザのうさぎちゃんのおかげだ。




9につづく。   


初めての不妊治療7


泌尿器科の診察が終わったころ、


だぃちゃんは


迎えに行きます


と言ってくれたが、


お仕事抜け出して来てもらうのは大変なので、


母親と大塚から自宅マンションまでタクシーで帰った。



一般道を高速のようにぶっとばす

強面の運転手だったが、


母親と話すと楽しそうにしていた。


西川口にくると、


仲間が近くの猫橋に住んでいるんすよ!


これから行ってみようかな。


などと言っていた。


なんだか嬉しそうだった。



自宅マンションで

パジャマやパンツ、薬、DS、コンタクトを準備し、


母親と父親の車で実家に帰った。


父親は心配顔だった。


そりゃそうだ。


今朝、急病で運ばれてはじめて娘が体外受精してたことを知ったから。


でも私に何も言わなかった。




実家に着いたら


レオが玄関に寝てた。


いつも寝ている。


レオは余命宣告されてからもう2回目の夏を迎える。


目は見えないが鼻はきく。


さすがわんこだ。


私が帰ってきたのはわかったかな。



居間に行くとかつまたが隠れていた。


もう何回も会ってるはずなのに


家族に対しても母親以外は


一定の距離を置く。


私を横目に確認しながら、


母親に


にゃにゃー!


とスリスリした。 



月曜から木曜まで実家で療養することになった。


パジャマに着替えて


2階のベッドに横になった。


懐かしい畳の匂いだ。


結婚するまで


この部屋で過ごしていた。



かつまたは夜必ず2階に上がってきた。


ベッドまわりを巡回しに来るのだ。


巡回のついでに

ダンボールを引きちぎって、


ひと暴れし、


毛づくろいをし、


眠り、


何もなかったように


1階に降りていく。


だいたい2時間くらいはいた。


1階にいると


酔っぱらった父親が追いかけてくるらしい。


だからここにいることは


秘密だよ


と目でウインクしてきた。



あとは


私が朝、

寝ぼけまなこでうんちをし終わると、


扉の外などで待ち構えていた。


まさかいると思わないし、


寝ぼけていたので、


あああ!!


と驚いて大きい声を出す私を


迷惑そうにみていた。


お風呂もいつのまにか


覗いていた。



髪を乾かすためにドライヤーしているときも、


トコトコやってきて、


ずっと風になびく私の髪を


ガン見していた。



おなじ、おんなってわかるのかな。


  


たまにレオくんと鼻を合わせて


ちゅんちゅん


とするらしい。


何の会話をしているんだろうか。




一週間近く、


毎晩父親が収穫した野菜を使った母親の手作り料理を食べ、


かつまたに覗かれながら風呂に入り、


のんびりした。


お腹に違和感はあったが、


だんだんと良くなり、


金曜のお昼過ぎ、


自宅マンションに帰った。


金曜はだぃちゃんは帰って来れなかった。


深夜、また腹痛が気になったが、


だぃちゃんと電話して、


森三中の動画を見て、


明け方寝た。




土曜の昼は、


培養液の中にいる残り5つの受精卵の成長具合を確認する電話を


クリニックにかける日だった。


培養士さんに確認したところ、


2つは成長が止まってしまい、


1つは最後まで成長したが、

とても小さい。


結局、凍結保存出来たのは2個だった。


胚盤胞という受精卵の最終段階に行くのは、


3割と言われているなか、


とても平均的な数値だった。


でもちょっとさみしかった。


6対6でカップルになったけど、


カップルになったあと、


力尽きてしまった卵達もいたんだなあ。


なんだかぼーっとしながら、


たらこスパゲティを作って、


TVの再放送を見ながら食べた。




8に続く。



初めての不妊治療6


ここからはあまり覚えていないのだが、



30分後くらいにだぃちゃんもマンションに来た。



お母さんと挨拶をし、



私をさすっていた。



私が少し落ちついたのを確認すると、



病院が開くまで時間があったため、



シャワーを浴びに行った。



私は朦朧としていたが、



だぃちゃんがお風呂上がりに、


脇スプレーをふんだんにかけている音は聞こえた。



私を車に乗せ、


お母さんを後部座席に乗せ、


だぃちゃんの車はクリニックに向かった。



道はすごく渋滞しており、


通常30分で着くところ、


1時間半かけてクリニックに到着した。


だぃちゃんは



待ってます



と母親に言ったようだが、



母親は


仕事に戻ってくださいと


忙しいだぃちゃんを帰したらしい。



クリニックに着くと、



すぐに採血室に呼ばれ、



血圧と熱を測った。



熱は微熱だった。



看護婦さんは、



昨日まで元気だった私の急変に


みんなびっくりしていて、


すごい速さでベッドを用意してくれて、



私を横にしてくれた。



みんな優しい言葉をかけてくれて、



なんだか、ボロボロと泣いてしまった。



うっ



うっ



と泣いていると、



すぐに内診室に行きましょう



と、看護婦さんに腰を支えられ、


かばんを持ってもらい、



いつも3時間待ちくらいの内診室に



待ちの患者さんを数十人かっ飛ばして、



この日は到着5分くらいに呼ばれた。



先生は、




すっとんで内診室に入ってきた。



松井さんに何があった?!



とエコーで子宮を見てみると、



先生が発狂した。



なんだこれは?



膀胱が肥大化している!



お腹の大部分が膀胱だよ!



なんだこれは、、、






ペットボトル1本と同じ量の尿が


膀胱に溜まっていて、



エコーには、水枕の大きさくらいの、


嘘みたいな大きさの膀胱が写し出された。




私が、



おしっこが出ないんです。


お腹が痛くて、


尿意が全くないんです。



と言うと、



先生は、看護婦さんに、



すぐに緊急で都立病院の泌尿器科に電話をして!



それと紹介状の用意!



松井さん、大丈夫?



子宮はたしかに腫れてはいるんだけれど、



膀胱が見たこともない形と大きさになってるんだ。


今朝の症状は、


膀胱の変形のせいだと思います。


不妊治療専門のうちではちょっと心配だから、



都立病院で見てもらおう!



大丈夫!



すぐに死ぬことはない!  




    だれか!



ついていける看護婦はいる?



君はタクシーの手配!





病院が慌ただしくなった。



診察室を出ると、



皆が私を見た。



他の患者さんに不安を与えてしまっただろうか、、



薄れゆく意識の中で、



なんだか大変なことになった、、、



と思ってうちに、



またベッドに寝かされた。



  

 看護婦さんに



実は今日は母が一緒だということを伝えると、



お母さんもベッドの部屋に来てもらいましょう。



と、母親も近くに呼んでくれた。



母親としばらく寝ながら話していると、



先生が入ってくる声がした。



はあはあ息を切らしていた。




松井さんどこ?



看護婦さんが、



こちらです!



とベッドルームのカーテンを開けた。




わあ!



お母さん!



めっちゃそっくりやないかーい!!



と先生を驚かせてしまった。



その後、



先生は、お母さんを心配させないように、



今までやった治療全部の説明と

今日のエコー写真で子宮は心配ないこと、


都立病院にはもう電話を入れたこと、


すぐに紹介状を書いて、

タクシーの手配をすること


約10分くらいかけて説明してくれた。



いつも3時間待って、

3分くらいしか話せない先生を、


今日は独占出来た気がして、


そしてお母さんがみるみる安心した顔になっていくのを見て



私は痛みの中でもすごく嬉しかった。



ものすごく忙しく手術も何件も控えているのに、


本当に責任感がある先生だ。



母親は



今日来てよかった。


あの先生ならまりちゃんを預けられるよ。



あの先生、ハンサムだね。


若い頃は大変モテただろうね。



と安心していた。



私は得意げだった。






タクシーを看護婦が1階で停めますので、



それまで寝ていてください。



と言われ、



お母さんとお話しながら待っていると、



松井さん!タクシー着きましたー!



と掛け声とともに、


カーテンがシャーと開き、



そこに現れたのは、



採卵手術の日に目にした車椅子だった。



まさかこんな形で車椅子に乗るとは!

  


さぁ!

乗って!



と言われたが、、



というか絶対待合室に50人くらいいるし、



これで外に出たら、



皆を驚かせてしまうのでは、



と思い、



これから手術の人もいるだろうし、



お断りした。



看護婦さんに見送られ、


タクシーに乗り、


5分くらいで都立病院に着いた。



 私は総合病院が嫌いだ。



小さい頃、身体が弱く、幼稚園時代はほとんど総合病院に入院していた。


その頃の記憶が蘇るのだ。



事務的だし、古いし、

暗さが不安な気持ちを駆り立てるし、


何よりすごく待つ。



待つのは慣れているが、



体調が万全ではない中、



何時間も待つのは大変だ。



しかも予約外なので一番最後だった。



母親が朝から何も食べておらず、



倒れそうだったので、



待ち時間に病院の食堂に行った。



この頃になると少しずつ自然にトイレで排尿出来るようになり、



容体は落ちついてきた。



母親と醤油ラーメンを少しだけ食べることが出来た。



志村けんのコントに出てくるような、


昭和のラーメンを



母親はすごく美味しそうに食べていた。



なんだか申し訳ない気持ちが私を突き刺した。


60超えた母親をこんなに心配させ、

連れまわし、待たせ、お腹をすかせてしまった。


だぃちゃんにも大迷惑をかけているし、



会社も休んでしまった。



申し訳ない。。 




  


結局診察の結果は、



原因不明の



急性尿閉






だった。



初めてきく言葉だが、


それもそのはず、


尿閉とは男性に多く、


さらに60代70代が多いという。


自力でおしっこが出来なり、


苦しむというものだった。



30代女性でなるのは100人に1人くらいです



と言われた。



エコーでまた撮影したが、



膀胱の肥大化は落ちついていた。



体外受精の副作用で出ることはないということで、


本当に原因不明だった。


原因不明のため、


2、3日様子をみてくださいとのことだった。

 

  7に続く。

 

 

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初めての不妊治療5


名前、生年月日を確認後、


手術台に上がり、


また足をマジックテープで固定された。


子宮を消毒する。


その後、シュルシュルと細長いカテーテルが子宮に入っていく。


針ではなく、カテーテルなので


我慢出来る痛さだ。



カテーテルを通してから、


培養室から受精卵が届いた。


手術ギリギリまで培養して、


私達の受精卵は6分割していた状態になっていた。


顔の近くのTVに顕微鏡で拡大された受精卵が写し出される!



たまこちゃん仮よ。。



たまこちゃんはスポイトにすぽっと吸われた。



培養士さんが、

培養室からマイクで、



松井さん!6分割です!

移植開始!!



と叫んだ。



私は名前を呼ばれたのと、

あまりの迫力に、なぜか、



はいっ!!!!!!



とお返事をしてしまった。


先生に言っていたらしい。



先生が、



子宮内膜14ミリ!

いくよー!!

妊娠しちゃってー!!!!!!



と叫びながら、


受精卵をカテーテルに入れ、


私の子宮の奥に移植した。



その後はまたリカバリールームに戻り、


安静。


手術後に分割したたまこちゃんの写真と、


子宮内膜にいるたまこちゃんの様子のエコー写真をもらった。



ベッドで寝ている間、


眠らずに、



ずっと、たまこの写真を見ていた。


今、お腹にたまこちゃんがいるんだ。


だぃちゃんと私のたまこちゃんよ。



どんどん分割して、


私の子宮内膜のベッドにどうか、


居心地の良い場所を探し、


くっついてください。






針で刺したりはしていないので、


回復が早く、


速やかに待合室に戻った。



培養士からは、




残りの5つの受精卵は、


このまま培養液に入れ、


最終段階まで分割させます。


そして次回移植に使う為に、


最終分割までいったものは凍結します。


途中で分割が止まり、


生き耐えてしまうものもいるかもしれませんが、


それがわかるのは一週間後です。



残り5つの受精卵については、

また一週間後お電話ください。




 とのことだった。



先生からは、



採卵手術で針を何カ所か刺しているから、

子宮が腫れます。

安静にしてね!


ウォーキングとかあんまりしないで、


もうこれからずっと安静!


宴会禁止!



じゃあ頑張ろう!



と励まされた。



帰りはまただぃちゃんに送ってもらい、


なんだか意外と元気だなあ


なんて思いながら、


夜はたまこに話しかけながら寝た。



次の日の朝6時。



私は激しい腹痛で目を覚ました。



 


だぃちゃんは早くに出勤してしまっていて、


一人だった。



ベッドで七転八倒して、



尿が溜まっている感じがしたので、



はあはあ言いながら、



トイレにかけこんだ。



トイレで、おしっこはほとんど出ず、



おしっこをチョロっとした途端、



さらに激しい巨大な針で下っ腹をグサっと思い切り刺されたような


痛みが走った。



同時に目が周り、


視界がボヤけ、


寒気に襲われた。



トイレも流したかわからないまま



ハイハイでベッドに戻った。



バケツで水をかぶった量くらいの冷や汗がガンガン出てきた。



呼吸がし辛い。



苦しい。



6時だから、近くに住んでいる両親は目を覚ましているだろう。



ただこんな時間に母親に電話をかけたら、


父親がびっくりするのではないか。



父親には、



体外受精のことを言っていなかった。



あえてだ。



うちの父方の親戚は、


不妊に理解がない。


子供がなかなか出来ないことを



なんの悪気もなく、


言葉に出す人もいる。


昔の人は子供をたくさん産んだから、


しょうがないと思うが。


そんな理由と、


極度の娘心配症


ということもあり、



母に、父親には内緒にしてもらっていた。



本当に経験したことがない鋭利な痛みだった。



はあはあ



息をなんとか吸いながら、


とりあえずだぃちゃんに電話をかけた。



状態を伝え、




お母さんに行ったら、お父さんびっくりしちゃうかな?


と聞いたら、



今はそんなこと考えちゃだめだ!

命にかかわることだよ!

俺もすぐそっち戻るから、

その間お母さんに来てもらって!



と言われた。



そうだよな、このまま最悪死んじゃったら、


元も子もないよな。


と思い、


母親に電話をしたら、


10分後、父親の車ですっとんできてくれた。

 



6に続く








 

 

初めての不妊治療4

しばらく安静にして、


リカバリールームに誰もいなくなったころ、


やっと歩けるようになった。


この後、先程採れた卵子の説明があるということで


待合室に戻った。


待合室には人工受精を初め、軽度の患者さんは全員帰っていて、


一緒に体外受精をした6人しかいなかった。


しばらくすると、


初めて入る問診室というところから名前が呼ばれた。


中には培養士さんがいた。


松井さんは今日、


成熟卵4つ


未成熟卵が2つ


合わせて6つ卵子が採れました。


未成熟卵2つがこのまま培養液の中で、成熟卵になるか、


あと、その未成熟卵を含め、

旦那さんの精子といくつ受精するか、


明日の12時に培養室に確認の電話をしてください。


とのことだった。



6箇所も針刺したのか。。


それは痛いはずだ。


だぃちゃんに迎えに来てもらい、


身体のダメージが大きかったので、


おうちに帰って静かに寝た。 


  


次の日、そわそわしながら、


12時1分くらいに

培養室に確認の電話をした。


私からの電話を待ち受けていたかのように

1コールで出てくれた。




松井さん


結果ですが、


まず、未成熟卵は

培養液の中で無事2つとも成熟卵になりました。


そして、その2つを含め、


6つ全部が旦那さんの精子と受精が確認出来ました。




私ジュニア達とだぃちゃんジュニア達は

6対6の合コンをし、

見事6カップルが出来た。



この人やだよ〜!


とか文句を言うジュニア達は一人もおらず、


ちゃんと、

よろしくお願いしますと

大人しく全員カップルになった。


私ジュニア達と

だぃちゃんジュニア達

おりこうすぎる。



しかも私ジュニア2つは昨日まで子供だったのに、



1日で立派な大人になり、



合コンにもちゃんと参加出来た。




だぃちゃんと私はやっぱり相性は良かったんだ。


1つも嫌がらないなんて。



ただ培養液の中で受精しただけで


本当に嬉しかった。



培養士さんから、



この6つの受精卵から


一番分割が進んだ良いものを使って、


明日移植手術となります。


13時に病院にお越しください


と言われた。



いそいで仕事中のだぃちゃんに電話をしたら、


ものすごくほっとした様子だった。




移植手術当日。



だぃちゃんは仕事のトラブルが重なって

昨日は帰って来れなかった。



これから病院行くよ



と伝えると、



顔だけ見させて。


安心するから。



と仕事を抜け出して、


病院の入り口まで来てくれた。



そこで、手をぎゅっと握って


だぃちゃんはすぐ仕事に戻っていった。



病院に着くと、


受付でまたまた10万円の束をいくつか出し、


まず問診室で培養士さんからの

受精卵の説明があった。



受精卵は全てグレード3となりました。


グレードは簡単に言うと、


受精卵の綺麗さの点数です。


松井さんは平均的なグレード3でした。


一番良いグレード1でも妊娠出来ない人もいるし、


グレード4でも妊娠する人もいます。


参考程度に。。  



 しばらくして、


リカバリールームから名前が呼ばれた。



ではまた手術着に着替えて下を全部脱いで、


ベッドで待っていてください。



一昨日の痛かった採卵手術が思い出される。


こわい。


前回はお地蔵さんみたいになっていたが、


今回は横になって待った。


そしてうんちは出なかった。



リカバリールームにはまた6人の患者さんがいた。


4番目に呼ばれた。



松井さん


手術室へどうぞー。



手術室に入ると、


佐藤栞里ちゃんがいなかった。


また会いたかった。


すごく不安になったが、


栞里ちゃんがいないということは、


そんなに大変な手術ではないのでは?


と思うことにした。 


5に続く






 

初めての不妊治療3


さて、

毎回の待ち時間3時間を

私がどうやって過ごしていたかというと、



DSだ。



だぃちゃんは私にDSを授けてくれた。


DSでファイナルファンタジーをやっていた。


まわりの妊活中の方々が

院内に置いてある妊娠本を読んで気持ちを高めている中で、



私は剣士や魔道士達やらのレベルを高めていった。



1ヶ月、3ヶ月、1年の通院の中で、


やさぐれていた主人公セシルは


王国を滅ぼされ、


友人の剣士にも裏切られたことで、


悪から足を洗い、


魔道士の双子と仲間になるも、


道中で彼らと生き別れになり、


最初は移動手段がチョコボだけだったが、


飛空挺乗りと友達になり、


空を飛べるようになり、


そのおかげで、


好きだった女の子を敵から助け出し、


今はその子と仲直りした友人の剣士と


世界を救う旅をしている。


1年半の通院でLevel1からLevel50になった。


なかなか感動させられるストーリーであり、


途中で仲間になった憲法の達人や、


飛空挺乗りは、


セシル達を守るために、


自らどんどん自爆していく。



敵は強い。



世界に入り過ぎてしまい、


気づくと戦闘シーンでAボタンを、


カッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッカッ



と連打する音だけが院内に響いていて、


まわりの患者さんが、


不思議そうな目で私を見ている。



たまに院内においてある柴犬の雑誌を読んだりもしたが、


9割型は違う世界に出かけていた。



そんなこんなで待ち時間3時間は、


私にとっては


RPGの世界に行ける時間となったので、


そんなに苦痛に感じたことはなかった。


おしりや腰は痛くなったけれど。



前置きが長くなってしまった。

 





採卵手術当日。



採卵手術と言っても


なにをするか特に男性はピンとこないと思う。


男性で例えるなら、


尿道から25cmの長い針を入れて


タマタマまで届いたら、


たまたまにいる元気な精子を物色し、


タマタマをぶっ差しながら、


1こずつ吸い上げる。


麻酔は一切しない。


上手く伝わるだろうか。




保険は一切効かない。


受付で10万円の束をいくつか出し、


お会計を先に行う。



緊張でうんちが止まらない。



しばらくすると、


いつもと違う部屋から、


松井さーん


と呼ばれた。



入り口で名前生年月日を確認後、


リカバリールームという


6つのパーテーションで区切られた一番端の個室に案内された。



可愛いピンクのベッドに、


ピンクの手術着と帽子、小さいビニール袋が置いてあった。


看護婦さんが、



トイレを済ましたら、下は全部脱いで、ビニールには名前を書いておいてください!

お呼びするまでベッドでゆっくりしていてください。



と言われた。


リカバリールームのトイレはめっちゃ綺麗だった。


これから手術の患者さんが出来るだけリラックス出来るよう配慮されている。


体外受精をしなければ、


ここに入ることはなかった。


そんなリカバリールームのトイレで


また



うんちをした。


手術着はダウニーの匂いがした。


ベッドでゆっくりって、


なんだろう。


寝ていいんだろうけれど、


呼ばれた時にゴロゴロ寝ていたら、


やる気がないみたいに思われないだろうか。



どうしたらよいかわからないのと


緊張が合わさり、


私はベッドの上に


腰をかけて足をピンと揃え、


お地蔵さんのように



20分くらい固まっていた。




松井さーん、、、はっ!!!

なんだかきちんと座ってる!!!

大丈夫ですか?



と呼びに来た看護婦さんを驚かせた。



じゃあ行きましょうか



と手術室への道へ案内された。


すると車椅子が目に入った。


私は、



車椅子に乗らなくてはいけないくらい痛くなってしまう患者さんもいるんだ!!

こわい!!


でもきっと私は大丈夫だろう。


と自分を落ちつかせながら、


手術室へむかった。



 手術室の入り口で再度名前と生年月日を確認後、


手術室のドアが開いた。


医龍のドラマでみたような手術室がそこにはあった。


慶応ボーイを始め、


みんな割烹着みたいな頭の被り物をしており、


薄暗い室内で、


手術台だけがライトアップしていた。



慶応ボーイの先生は割烹着の頭の被り物をして、


余計ドラえもんみたいになっていた。



手術台に足を広げて寝かされた。


その後、痛さで暴れないように、


足をマジックテープで固定。


私の顔の10cmくらい側に、


佐藤栞里ちゃんみたいな可愛い


小柄な看護婦さんがついた。


佐藤栞里さんは


今から膣の消毒をします。


とか


機械を子宮に入れています。


ご気分は大丈夫ですか?


とか


私が不安にならないように、


全てを報告してくれる。



では始まります。



と栞里ちゃんから伝えられると、



何やら長い針のようなものがシュルシュル入れられ、


ドラえもんの、



はい、行くよー!!

頑張れー!!


の声がけの後、


グサっと


卵胞を刺す激しい痛みが走った。


想像以上の痛みに


私の身体は40cmくらい反射的に腰が浮いてしまい、


海老のようになった。


すると先生も海老になった私にびっくりして、


先生も海老になっていた。



はあはあしている私に


先生は、


痛くてびっくりしちゃった?

俺もつられてびっくりしちゃった。

ごめんごめん。


大丈夫だよー!


じゃあ今からここは、

お化け屋敷だよ!!


お化けでるよー!!

はいっ!



グサっ



はあはあ!!


と耐える私に、


栞里ちゃんは


痛いですよね!

松井さん頑張ってください!

松井さん頑張れー!!!



と栞里ちゃんも涙目でハアハアしながら、

全力で応援してくれた。



麻酔していないのに


痛さで意識が朦朧としている私にむかって、栞里ちゃんは、


あっ!!

松井さん!松井さん!!

ほら!卵子がとれましたよ!

見えますか?


と顔のところにあるTVに写った卵子の存在を教えてくれた。


痛さでなかなか見れなかったのだが、


たしかにTVには、


いくらというより、


とびこくらいの私の卵子


血に混じって写っていた。




採卵は続く。


グサっ


どうしても動いてしまう私の足はマジックテープじゃ足らず、


看護婦さんたちに押さえられた。


先生が、


最後の一つは膀胱ギリギリの位置にあるね。

ちょっと膀胱を針がかすめてしまうかもしれない。

頑張れ!!



と言った。


私はなかなか止血しなかったらしく、

最後の方は先生が一生懸命機械で子宮を挟んで止血していた。


助手の人たちに何やらたくさん指示していたが、



私は朦朧としていた。




松井さん!!

無事採卵は終わりました!

大丈夫ですか?


と栞里ちゃんがおしえてくれた。


結局、栞里ちゃんは私を励ます係だった。


同じ病院の他の採卵経験者のブログを見ると、


栞里ちゃんがずっと手を握っていてくれたと書いてあったのを思い出し、


患者さんを落ちつかせる配慮が本当に長けている病院だなあと思った。



手術を終えた私の両足は固定されていたせいもあり、


ブルブル震えていた。


そして安心感でボロボロ泣いていた。


看護婦さん達が



あらら!震えが止まらないのね!!



と、私の足を下ろしてくれた。



なんとかリカバリールームまで歩いて戻ることが出来た。


あやうく車椅子を使う番が来てしまうのかと思った。


リカバリールームに着くと、


15分寝かされた。


時間が経ち、看護婦さんが、


膀胱をかすめてしまった可能性があるため、尿検査をしますのでおしっこをとってきてください。


あと、膣に止血の為の2mのガーゼが入っているので、トイレで抜いてきてください。



と言われた。


他の人のブログを見ると、


真っ赤に染まったガーゼがおまたから出てきた


と書いてあったのを思い出し、


恐怖に震えながら手術したばかりのおまたから、


ガーゼを抜いた。


びっくりした。


生理3日目くらいの量しか血がでていなかった。


あんなに針を刺して、止血まで手こずったのに、


慶応ボーイの腕前凄い。


その後、そのガーゼと尿を看護婦さんに提出して、


私は震えながらベッドに横になった。



なんだか回復が遅くて、

他の手術した人たちの2倍、

安静時間をとった。


結局、尿検査の結果、


血尿が出ていた。


看護婦さんが、


ベッドに横たわる私に、



松井さん!!

膀胱に小さい穴が空いているので、

穴が塞がるまで水分を沢山とって、


バイキンが入らないように

おしっこをたくさんしてください。



とお水をくれた。


全部飲めと言うことだったが、


起き上がるのも辛かったので、


寝ながら小鳥の口で飲んだ。



4に続く。